感想 漫画 観用少女
![]() | 観用少女(プランツ・ドール) (1) 川原 由美子 (2001/03) 朝日ソノラマ この商品の詳細を見る |
フィリップ=K=ディックとか、ハーラン=エリスンとかのSFが好きで、マンガもSFが好きだったりする。
で、そのなかで、この作品が、すごく好き。とにかく好き。
SFだけど、こじんまりしてて、でも、背景とか書き込んであって、しかもデザインがどこかアールヌーヴォーに中華風をぶちこんだ感じで……。
男の人の書くSF的世界観って、どっか無機質で、金属的だけど、この作者が女性だからか、観用少女の背景ってのが、なんだか植物的で、曲線が多い。
まぁ、そもそも観用少女ってなんですか? って人もいるだろうから軽く説明。
観用少女ってのは人形です。しかも生きている。その値段はばか高く、そして、観用少女は永遠に少女のまま(アルコールなどを与えなけりゃ)その上、ミルクだけで生き、砂糖菓子をサプリメントとして生きる。
それが手間がかかる手間がかかる。とにかくデリケート。絹のシーツでないと肌荒れおこすし、洗剤も石鹸じゃないと駄目ー。
なにより面倒なのは。
人形が持ち主を選ぶ事。
人形がその目を開いた人間が、その人形の持ち主たる資格を持っている……。
まぁ、どっか猟奇的な感じもしますよね。
でもやっぱり語り口が少女マンガ。基本、美男美女しか出てこないし、わりとあっさり風味です。
超近未来的な世界で、その観用少女に見初められた人々の、運命的な出来事を描いたこの作品……。とにかく世界観が良い!そしてこれまた、その風景に溶け込むかのような物語。
いわゆるSF的な世界ではなく、人の息吹が感じられる風景が広がる。中国的なんだけど、どこか熱帯的な気だるい感じ。
物語もSFにありがちな、ドンパチやら国家の陰謀やらではなく、もっともっと個人的で瑣末な事ばかりでそこがまた良い。
でも、ワンパターンでなくて、コミカルなものからシリアス、ミステリー、などさまざまな味付けで楽しめる。ついでに、一個一個が独立した短編マンガなので、暇なときにちょっとづつ読むことも出来る。
私、七草十四子は文庫の一巻のスノウホワイトが好きです。
他のが美男美女しか出て来ないのに、スノウホワイトに限っては、主人公は堅物でわりとがっしりした体つきの宝石商。
常連客が「天国の涙」とも言われる、観用少女の「涙」(涙は結晶となって宝石のようになるんです)を求め、宝石商の主人公はそのお客のために観用少女を手に入れるべくお店へ……。そこで目に付いたのが分けあって返品されてきた白雪という観用少女。
主人公は白雪を射ぬく為に宝石を貢いだりという努力をするが、なかなかうまくいかない。
まぁ、続きはおのおのが本を買うなりして読んでね。
どの短編も話の密度がとっても濃いので、買っても損は無いですよ。
このスノウホワイトが面白いのは、この短編では主人公がまったくの欲得のみで観用少女に近づき、結果として愛情をもってしまうあたり。
んでもって、主人公の心境の変化も面白い。
最初はまったくの商売魂だけだったのに、愛着が深くなればなるほど、人間らしさを取り戻していく主人公。
まぁ、ここまで観用少女の世界観を絶賛しておきながら、実はAKIRAとかも好きだったりする。(ゴーダ哲学堂とかもある意味好き)あんまりマンガは読まないからあれですが、お勧めのSFマンガ、あったら教えてください。



